2021 年6月 14 日
二十四節季と七十二候の話
夏至です。陽の気が最高潮 に達します。暑さはこれからが本 番ですが、じつはこの日を境に 陰の気が発生し、人間にはわ からぬくらいの小さな気配で成 長を始めるときでもあります。
七十二候では、ウツボグサと いう野草が枯れます。ちょうど一 年の反対側である「冬至」の初 候に「夏草、生ず」があり、対に なっていることがわかります。
つづいて、次候で花菖蒲が 咲きはじめ、末候で「半夏(はん げ)」と呼ばれるサトイモ科の野草が生え始めます。「半夏生 (はんげしょう)」は雑節のひとつ であり、夏至から数えて11日目 くらい、7/2 あたりです。田植え を終える目安とされ、この日より あとには田植えをしないという風 習があったそうです。しっかりと 雨が降る間に苗を植え、夏の 陽ざしに耐えられるくらいに成長 させなければならないことと、暑 さの盛りには農家さんを一休み させようという、昔の人の知恵で はないかと思います。

店主のつぶやき
毎年、有機栽培のおいしいぶどうを出荷してくれる群馬県富岡 のファーム矢嶋さんで、ほんのすこしですがぶどうのお世話を手伝ってきました。
果物栽培などでひとつの実に栄養がいきわたるように実の数を 減らすことを「摘果」といいますが、ぶどうの場合は一房が35粒く らいになるように、ついたばかりの小さな房をひとつひとつ見なが ら、「摘粒」します。
やってみて、はじめてぶどう栽培の大変さがよくわかりました。こ の作業は機械で自動化はできないと思うので、おそらく農薬を使 う慣行栽培でも同じ苦労があるはずです。
真夏に出回る大粒のぶどうはその美しさで目も楽しませてくれま すが、それは 5 月~6 月のぶどう農家さんの細やかで気が遠くな るような丁寧なお世話のおかげだったのです。
